よし、再びストーリーは進むぜ!
かきためてはいないけど、なんとなくターボがかかってきたかな?進みそう。
1章2幕…森の古城・森の古城の寝室
レヴァンタンとの死闘をどうにか切り抜けた二人。
古城辺りの木々は燃えてしまったが、古城は無事だったため、再び静穏な時を取り戻すことが出来た。もう無いだろうが、警戒するため、鎧は着込んだままだったが。
辺りから失われた緑をどうにかしようと、普段ブロムが持っていた道具類の中から、鉈や鋸をミリスが持ち出して出て行ってしまった。かなり広い土地だからとグウェンドリンが止めたのだが、言うことを聞かなかった。
一方、ブロムは二人と共に寝室のテラスにいた。二人から相談を受けていたのだ。
先の戦いで吹き飛ばした、バレンタイン王が冠していた冠。
ブロムなら何か知っているのでは、と思い、オズワルドが甲冑の懐から取り出すとテーブルの上に置いた。
「な、何と…これは一体!」
見せたとたん、ブロムは一驚を喫する。
テーブルの上に置かれた金の冠を見て、オズワルドを見て、の繰り返し。
「バレンタイン王が被っていた冠だ。魔石の塊らしい」
「ブロムさんなら分かると思って」
オズワルドが、戦いの最中に見た冠の役割を説明した。
竜の急所を突いた傷ですら一瞬で癒える、と。
「うーむ。これは、恐ろしく純度の高いサイファーだな」
「つまり…?」
「傷が癒えるなどはもちろんのこと…あらゆる物の"原始"の力を持ち…ん、そうか」
ふと、何か思いついたようにブロムが手を打つ。
「グウェンドリン様、これを持ってレヴァンタンが燃やした庭を飛び回ってみなさい。緑が溢れる森を念じて」
そう言うと、グウェンドリンがつけていた小さな冠を外して、大きな金の冠をかぶせた。
後頭部までぐるりと頭に巻くように、王冠はすっぽりと頭を覆った。
「えっ、このまま?」
少しぶかぶかでぴったりとはまらずに、動くと頭の周りで回る王冠。
何だか安定しないで落ちそうな冠に不安を抱きながら、グウェンドリンはテラスから飛び出すと、宙を舞った。
その姿を、地上で鉈を振るい、焼けて脆くなった木々を次々に打ち倒す、普段は見られないミリスが見上げた。
ミリスが下から、グウェンドリンを呼び止めようと声をあけようとした瞬間。
グウェンドリンの被っていた王冠が輝きだし、辺りに光が走った。
「な、何!?」
オズワルドがその光に思わずテラスから身を乗り出す。
声は聞こえなかったが、グウェンドリンが冠を見て何やら慌てているのが見えた。
その光は冠から天に向かって一直線に出ていたが、徐々に地面からも、何本も溢れ出した。
地面の光は、まばゆいほどに育つと天へと上りはじめた。
光の柱が何本も立つと、やがては一本の光の帯となって辺りを覆い尽くし、何も見えなくなった。
「え、ええっ!?グ、グウェンドリン様っ!」
まばゆい光に目を閉じていたグウェンドリンが、慌てるミリスの声でそっと開くと、信じられない光景が目の前に広がっていた。
月明かりを受けて映える緑を豊かに生やした木々。
煉獄の炎で焼け爛れた古城周囲の大地。
石橋の足についた苔までも、すべてが元通り。
レヴァンタンが何かを燃やした形跡など、欠片も見当たらない。
「こ、これは一体!?」
ミリスの元へと降り立つと一緒に、信じられない様子で辺りを見回す。
頭に被った王冠が、一層光り輝いているのに気づいたミリスが、王冠を指さして言った。
「この王冠には、何か不思議な力があるようですね」
王冠を手にとって見てみる。
それは光り輝いて、僅かに暖かかった。何やら光を見ていると、穏やかな気分になっていく。
「不思議ね…」
古城へ向けて歩きながら、二人はどことなくほんわかとしていた。